僕の死に方 エンディングダイアリー500日

僕の死に方 エンディングダイアリー500日 [ 金子 哲雄 ]

流通ジャーナリスト 金子哲雄さん自身が、肺カルチノイドで亡くなるまでの500日を書いた本。これが2012年最後に読んだ本になりました。

TVや雑誌をあまり目にしないので、どんな人かはぼんやり程度で読み始め。涙をさそうというよりも、そのプロ意識と自信を冷静に見続けた一人の人間として尊敬したいと思った一冊。文字にはなっていない悲しさ・不安・怒りはあったと思うのだけど、それよりも本にする際に選ばれた流通ジャーナリストとしてのありかたが素晴らしい。

死ぬ事が決定した瞬間から、その日までの間、病を隠しながらも流通ジャーナリストとして通そうと決めた金子さん。決断をしたご本人と、やはり奥様の二人だからこそ成し得た行動だったと思う。500日を支えた人々と、偶然の出会いは、お二人が引き寄せたものだとも思う。金子さんの仕事関係の人までを含め、人が一人では生きていけない事が違った面であらわされていた。

自分がうるっときてしまったのは、三章の終わり。「いつコメントを求められても大丈夫なように備えていた」「どこに発表するあてが無くても、これをしないと生きている感じがしなかったのだ」というくだり。ご本人にとって、好きな仕事というのは、本当に生きるための糧というか柱だったんだと強く感じた。


自分にとって、まだ今の仕事は、そこまでのポジションにはなっていない。何が軸であるかまだまだ模索のなかだけど、死を意識した時にも、あきらめずに今を生きる気力は、しっかり持てるようにと思う。


金子さん・奥様、良い本を残してくれてありがとうございました。