『スーパー・チューズデー 〜正義を売った日〜』を見て


JMMの冷泉さんの寄稿を読んで、予備選最中(いま4月)に観たいとスケジュール調整して見に行った。

アメリカの大統領予備選って何?という予備知識なくても大丈夫な構成で、大統領選入門としても良さそうな話。感情の起伏を感じさせてもらえる点も含め、楽しめた映画でした。


一年?にわたって行われる予備選に数名の候補がたち、アメリカ全土で繰り広げられる選挙キャンペーンって日本のTVニュース観てるだけじゃ
価値がわかってなかったのだけども、候補者達が、あらゆる角度から試されている場であることが、すごく良くわかった。
劇場的ではあるとは思うものの、候補も有権者も、自分ひいては国家の為に真剣。

自分の知ってる日本の選挙のどれとも類するものがないのは、文化の違いだけで終わらせてはいけない気もした。


中盤から大きく物語を動かすのは、意外にも、政治の話じゃないプライベートな事情。このあたりは、見た人だけがって点ですね。


主演ライアン・ゴスリングの選挙参謀という視点から描かれる物語は、選挙という非日常イベント(たまにしかないって意味で)が、普通の人間というもので演出されてるという事を、ちゃんと見せてくれてるように思えました。
あらゆるイベントとのバランスのとり方が、とても泥臭く。そこがわかって少し身近に感じたり。


約100分の物語は、前半の選挙戦の内部事情に、やさしく触れながらシーンから始まり、後半戦は胸を軽く押さえつけられるような苦しさの中、エンディングへ。
中盤は、個人的には少々ボンヤリしてしまったところあるのだけど、21:30から見たせいで集中力がなかっただけか、100分という時間から溢れるだけの人間模様だったのかは不明・・・


観た後に浮かんだのは、ジョージクルーニーの考え。

彼は、この映画の何を伝えたかったのかな?という疑問が。すごくカッコよい・ステキな俳優たちが演じて、シナリオもドラマチックで、選挙を舞台にしたエンターテイメントともとれなくはない。
でも、架空の候補ではあるが、アメリカの内情を上手くまとめあげての問題提起?としてもとれる。人?正義?忠誠心?選挙?

現段階では、後述するような人の生き様っていうのを選挙という題材で表したと捉えました。彼に対する他のリソースがない自分では、深い考えはないのですが。


冷泉さんの寄稿では、次のようにかかれている部分がありました。

"そうではないのです。クルーニーは本気で怒っており、本気で批判しているのです。"

あまりジョージ・クルーニーを知らない僕は、映画そのものから批判という印象は受けませんでした。ただ、

"クルーニーは政治は信じていないのでしょうが、究極の部分で人間というものは信じているのであって、それが作品に深さと奥行きを与えているのだと思います。"

の点については、そうだなぁと感じる点がありました。


(一つ一つの行動に対しての許せる許せないは様々ですが)信ずる目的に対して自身が前に進んでいくという姿は、1つの正義を捨てた後にも、そうあらねばならぬ人間的な一面を感じました。
仏教の輪廻(ただの定番?)を感じるようなエンディングも、クルーニーの人間に対する視点が少し垣間見れたような気も。



なんとなくアメリカとか、大統領選とか気になってる人や、ちょっと頭を使った100分を過ごしてみようかと思う人にお勧めです。
カップルでみても楽しい人もいるかもしれませんが、個人的には一人で集中して、見終わった後も、しばし余韻に浸るっていうのがいいかと。